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全国の焼き物の酒器ぐい呑み情報発信サイト


"焼き物のうんちく"の案内


知っておきたい焼き物に関する情報を紹介します。 左蘭「うんちくサブ・メニュー」から必要な項目へ移動下さい。 
全国の産地で見聞したこと、資料による情報や一般参考図書などの情報をまとめています。 従って、学術的な解説することを目的としていませんので、主旨をご理解していただきご活用をお願いします。 

 ・焼き物の歴史と産地  : 長い時間の中で発展してきた日本の伝統的工芸品「陶磁器」。その歴史に関係した項目を解説。
 ・焼き物の種類     : 焼き物の種類に関係した項目を解説。
 ・焼き物の製作工程   : 焼き物が完成するまでの基本工程、技法、釉薬などの項目を解説。
 ・知っておきたい人物  : 焼き物の歴史などに登場する知っておきたい人物を解説。
 

焼き物の歴史と産地

                                                  
項  目 解  説 参 考 情 報
六古窯 平安後期から鎌倉時代に興り、伝統が現代まで引継がれている右記の陶器の生産地を云う。 瀬戸焼を除けば無釉(釉薬を使わない)の焼締め陶器でです。陶磁器の研究家で陶芸家でもある小山 富士夫が命名したと云われる。 ・備前焼   (岡山県)
・信楽焼   (滋賀県)
・丹波焼   (兵庫県)
・常滑焼   (愛知県)
・瀬戸焼   (愛知県)
・越前焼   (福井県)
遠州七窯 小堀遠州は、江戸初期の近江小室藩主の大名で茶人であた。千利休、古田織部と続く茶道の本流を継承して武家風と公家風を合わせた「綺麗わび」の様式を築いた。 この遠州により名付けられた焼き物を遠州七窯と云う。 古曽部(こそべ)焼は、明治末期に、廃窯となっている。 ・志戸呂焼  (静岡県)
・膳所焼   (滋賀県)
・上野焼   (福岡県)
・高取焼   (福岡県)
・朝日焼   (京都府)
・古曽部焼  (大阪府)
・赤膚焼   (奈良県)
民芸運動 民芸運動とは、民衆的工芸運動の略。 柳総悦が中心となり河井寛次郎や濱田庄司らにより提唱された運動で、民衆の生活の中で作られた工芸品に本来の健全な美があるとの考え方を唱えた。 1925年(大正14年)に「民芸」という造語が作られ、翌年、運動の開始が宣言された。 この運動には、陶芸のほか染織、木工の工芸家も参加した。 この運動では、英国の陶芸家バーナード・リーチは、11年間日本に滞在し西洋と東洋の伝統美の融合に努力した。 ・柳 宗悦
・濱田 庄司
・河井 寛次郎
・バーナード・リーチ








伝統的工芸品
大量生産品からの伝統的なものへの回避、手作業への興味など生活に変化がある一方で、伝統的工芸品に携わる後継者の減少、産業としての存続が難しくなって来ていることもあり昭和49年に「伝統的工芸品産業の振興に関する法律」が制定された。平成24年現在211品目が指定を受け陶磁器も対象である。 

指定の要件は、

 1.主として日常生活の中で使われていること
 2.主要部分が手づくりであること
 3.伝統的な技術又は技法が守られていること
 4.伝統的に使用されてきた天然の原材料が用いられていること
 5.産地が形成されていること

  *「伝統的」・・・・100年以上の歴史を有すること
  *「産地形成」・・・工芸品の製造される地域内で、10企業または
            30人以上の従事者がいること
・大堀相馬焼 (福島県)
・会津本郷焼 (福島県)
・笠間焼   (茨城県)
・益子焼   (栃木県)
・九谷焼   (石川県)
・越前焼   (福井県)
・美濃焼   (岐阜県)
・常滑焼    (愛知県)
・赤津焼    (愛知県)
・瀬戸染付焼 (愛知県)
・四日市萬古焼(三重県)
・伊賀焼   (三重県)
・信楽焼   (滋賀県)
・京焼・清水焼(京都府)
・丹波立杭焼 (兵庫県)
・出石焼   (兵庫県)
・石見焼   (島根県)
・備前焼   (岡山県)
・萩焼    (山口県)
・大谷焼   (徳島県)
・砥部焼   (愛媛県)
・小石原焼  (福岡県)
・上野焼   (福岡県)
・伊万里・有田焼(佐賀県)
・唐津焼   (佐賀県)
・三川内焼  (長崎県)
・波佐見焼  (長崎県)
・小岱焼   (熊本県)
・天草陶磁器 (熊本県)
・薩摩焼  (鹿児島県)
・壺屋焼   (沖縄県)
   

焼き物の種類

                                                       
種  類 原  料 焼 成 温 度 硬  さ 釉  薬  起  源
磁器  磁土 + 陶石  1300~1400℃  硬い  掛ける  江戸初期~
拓器(焼締)
 陶土  1200℃  硬め  掛けない(自然釉)  鎌倉初期~
陶器 陶土 1100~1200℃ やや柔らかい 掛ける 奈良初期~ 
     

なお、このサイトでは、拓器は、陶器として扱っています。

焼き物の製作工程

                                                       
工  程 解  説 参 考 情 報
 製作工程         焼き物の種類により工程は変わります。 陶土の種類、装飾方法、釉薬有無、焼成方法などで数多くの工程が存在します。 この組合せで焼き物の特徴が醸し出されることになりますが、基本的な手順は、以下の通りです。    
土作り 粘土や陶石から材料を作る。 「土作り」参照
成形 素材や道具により形を作る。   「成形の種類」参照
乾燥 自然乾燥する。   
仕上げ(装飾) 削り、飛びカンナ、イッチン、化粧掛け、刷毛目、象嵌など外観を仕上げる。   「装飾の種類」参照
窯つめと素焼 500~800度の低温で焼成する、    
施釉 釉薬を掛ける。(施釉の焼き物の場合)    
下絵付け 染付や鉄絵等で絵を描く。    
窯つめと本焼 陶器は、1100~1200度で、磁器は1300~1400で焼成する。
上絵付け 色絵、金彩、銀彩等で絵・デザインを描く。    
焼付け 700~800度の低温で焼成する。   
 窯出し 窯をゆくり冷やしてから完成品を取りだす。    
 土作り         自然のままの粘土では、焼き物にはなりません。 不純物を除くことが必要です。   
土採り 粘土を採取します。   
乾燥 大きな石や不純物を取り除き乾燥させます。  
粉砕 砕いて粉末にします。 水力などを利用して杵と臼を使います。   
水簸(すいひ) 水に混ぜてで泥水を作り表面のゴミと沈殿した砂を取り除く。  
水抜き 手ですくうことができるまで水を抜きます。  
小分け乾燥 素焼の鉢などに小分けして乾燥させます。   
寝かせ 乾燥しきらないように水を加えながら寝かせておきます。   
土練り 「粗練」から「菊練」の工程で空気を抜きます。   
 成形法             手捻り(てびねり)
ぐい呑や茶碗と云った小さなものを指先で形を作る最も素朴な方法   手捏(てづくね)
紐づくり 底になる部分の縁に紐状の土をコイル状に積み上げていく原始的な方法。積み重なったところを指で押さえて紐を付けていきます。 縄文時代にも使われた手法で大きな甕や壺を作るのに使われます。   巻積み
叩き 紐づくりの工程で外側を板で叩きながら締めていく方法 。  
タタラ 板状の陶土を張り合わせたり、型に押し当てて成形する方法。 タタラ板と云う道具を使い適当な厚みに陶土を一枚すつ切り分けて陶板をつくりますが、この板をタタラと云います。    
轆轤(ろくろ) 円盤の上に陶土を置き回転させてその遠心力を使ってのばしたり広げたりして成形する方法。 小さなものから大きなものまで効率的に成形ができます。    円盤の回し方により
・手ろくろ
・足ろくろ
・電気ろくろ
タタラを成形型に押し付けて作る方法。 型の外側を使う外型、内側を使う内型があります。   
鋳込み 泥状の土を石膏型に流し込んでゆっくりと固める方法。 量産品を作るのに向いています。   
 装飾法             絵付け
素地に絵や模様を付ける装飾。 
・下絵付け: 素焼き後で釉薬を掛ける前に描く絵や模様           
・上絵付け: 釉薬を掛けて本焼後に描く絵や模様
 
彫紋様 素地が乾ききらない状態の時、紋様を施す装飾
・櫛目: 素地に竹櫛などで線を刻む方法 (線刻)
・飛び鉋: 作品をろくろにのせ回転させながら弾力のある鉋で連続した模様を付ける。
・印花: 紋様を彫った印を押し当て紋様を入れる。
・貼付紋: 素地と同じ土で作った形(紋様)を貼り付ける。
・布目: 布を使い柔らかい土に模様を付ける。 
化粧掛け 土を水に溶かし表面にコーティングする装飾。
・粉引き: 器全体に白化粧土を掛けたもの
・刷毛目: 白化粧土を刷毛で塗る
・掻き落とし: 化粧土を掛けた後に、鉋で掻き落とし透明釉を掛ける
・象嵌: 彫紋様を付けた素地に白化粧土を埋め込み、乾燥後に表面の化粧土を落とします。(三島)
・練り込み: 2種類以上の土を練り込んだ土で成形する。
・筒描き: 白化粧土を筒状の容器に入れ表面に模様を描く。(イッチン描き)
施釉 釉薬を掛ける装飾。
器の表面にガラス質の層ができますので、器の景色を作るのと同時に器の保護や吸水を防止する役目があります。
この調合は、窯元や作家の特徴を表現する大切な部分になります。
   

知っておきたい人物

                                                              
人  名 活 躍 期 間 解   説 参 考 情 報
小山 富士夫 1900年~1975年 陶磁器の研究者で中国陶磁器研究の大家。晩年は、岐阜県土岐で作陶に専念し陶芸家としても有名。 「六古窯」の命名者と云われる。 たくさんの酒器の作品が残っている。
小堀 遠州
   (正一)
1579年~1647年 武家風と公家風を合わせた「綺麗さび」の大名茶を完成した大名茶人。伏見奉行として遠江守に任じられたので遠州と呼ばれた。 遠州が命名した「遠州七窯」が有名
濱田 庄司
   (象二)
1894年~1978年 東京高等学校(現東京工業大学)に入学し二年先輩の河井寛次郎の下で釉薬の研究をした。バーナード・リーチの招き英国で陶芸活動し栃木県益子に拠点を定め民芸活動に参加する。 1955年第一回重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定される。 「私の陶器の仕事は、京都で道を見つけ、英国ではじまり、沖縄で学び、益子で育った」が端的に経歴を示す
金重 陶陽
   (勇)
1896年~1967年 窯詰め、焼成方法や土づくりなど研究を重ね手轆轤に拘り古備前の再現に専念。1956年重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定される。 「備前焼中興の祖」と云われる。 焼き物は、自然の力に影響されるが、「土にすなおに、火に素直に」の姿勢で技術的要素にも真摯に取り組んだ。